1. CMSとは

CMSとは「コンテンツ・マネジメント・システム」の略です。これはWebサイトのコンテンツを作成するための文字、画像、デザイン、レイアウトなどを保存し管理するツールです。HTMLなどのコードを書かなくても、管理しているデータを組み合わせるだけで簡単にWebサイトが制作できるようになります。

CMS導入を検討する場合、次のステップはCMSの選定です。CMSは運用目的や規模に合わせた多様な種類がされているため、自社に最適なCMS選びが必要です。

2. どのようなCMSがあるのか

最初に、世界でのCMSの使用統計と市場シェアを見てみます。Wordpressの圧倒的なシェアと、他にも様々なサービスが存在していることが分かるのではないでしょうか。

world

(出典:https://oshiete-url.jp/report/cms/2025_8/ より一部改変)

次に、日本でのCMS使用統計を見てみます。下表はプライム・スタンダード・グロース上場企業の公式WebサイトおよびTOPページからリンクされている関連ページ19,265URLを調査対象としてクローリングによる調査を行ない、検出数が多い順から10サービスを並べたものです。ShareWithなどの国内で開発・提供されているCMSなどもランクインしており、世界とは異なる使用状況を見てとることが出来ます。

japan

(出典:https://oshiete-url.jp/report/cms/2025_8/

企業のWebサイトはセキュリティやマーケティングなど、個人が趣味で運営するWebサイトよりも必要な機能,求められる機能が多くなります。それぞれのサービスに特徴がありますので自社に合ったCMSを選定することが重要です。今回は上記表のTOP3のうち、ライセンス料金が掛からないWordpressとDrupalを中心に比較します。

3. Wordpressの特徴

Wordpressは依然として全世界のCMSサイトのうち60%以上と圧倒的なシェアを占めています。Wordpressには、ThemeForestなどテーマを取り扱うサービスが多数存在し、既成のテーマを購入することで、Webサイトリリースまでのコストと期間を短縮できます。

昨今、ビジネスや組織にとって、ブランドの認知度を高めたり、ビジネスの目標を達成するためにデジタルマーケティングを行うためのWebサイトは非常に重要です。そのため、現時点でWebサイトがなく簡易的なWebサイトでもいいのですぐに必要というケースではWordpressをお勧めします。

4. Drupalの特徴

DrupalはWordpressと同じオープンソースCMSですが、Adobe Experience Manager(AEM)やSitecoreといった商用CMSと競合するソフトウェアとして認知されています。商用CMS、特にエンタープライズレベルのCMSプラットフォームには、複雑なロール・権限管理、高度なキャッシュ機能、セキュリティの堅牢性などが基本要件として求められます。エンタープライズ向けの商用CMSはもちろんですが、Drupalもこのような大企業が求める要件にフィットしたCMSです。
※ AcquiaとはDrupalを提供するプラットフォーム名であり、そのサービスを提供している企業名です。

(出典:https://www.acquia.com/jp/resources/report/acquia-named-leader-2025-gartner-magic-quadranttm-dxp

5. WordpressとDrupalの比較

WordpressとDrupalについて比較しました。

このようにWordpressとDrupalではそれぞれに特徴があり、求める機能や要件,構築体制やリソースを考慮しCMSの選定を進めることが必要です。しかし現時点での状況のみを材料に検討するのは不十分であり、将来の展望や今後の可能性を加味し、その土台作りとしての構築という視点も必要です。その点で言えば、Wordpressでは拡張性の乏しさが今後の開発の足かせになりやすい傾向があります。昨今のデジタルマーケティングでは他のシステム,サービスとの連携が必須と言っても過言ではありません。今後はさらに別の仕組みが主流になる可能性もあります。このように当初の計画には無い,求められていない機能であっても、将来的にそのような要件が発生する可能性は高いです。その点で言えば、Drupalの拡張性は将来の開発にも大きなアドバンテージとなります。Drupalの開発スタイルは「欲しい機能を最初から作る」ではなく「欲しい機能は既存の拡張モジュールを組み合わせて作る」というものであり、5万を超える拡張モジュールが存在します。またフレームワークレベルでRDFやREST APIがサポートされており、既存のシステムと連携を簡単に実現することができます。実際の弊社の事例としても、現在Wordpressを使っているお客様から会員サイト構築や多言語展開のタイミングでWordpressからDrupalに切り替えの相談をいただくことも多くあります。構築の計画段階から、拡張性の観点を持ち合わせた上で検討や設計を進めることは非常に重要です。

6. まとめ

WordpressとDrupal以外にも様々なCMSがあります。構築も運用も安心して使える国産CMSが良い!という場合には、ShareWithやKurocoなどのサービスがあります。またAPI 経由でのデータ管理やスケーラビリティ・配信効率を重視するプロジェクトでは、Contentfulが向いていることもあります。弊社アクレットではWordpressやDrupalに限らず、プロジェクトの用途やお客様のご意向に合わせたCMS導入を一緒に検討,ご提案いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。